雪
ここは塩、辺り一面が塩の平野だ。
ある時、雪が一粒降った。
真っ白い塩達にぽつんと一つ雪の結晶が落ちた。
塩の結晶の上に落ちた雪は寂しそうだった。
遠くからはどれが,雪だか,塩だか、まるでわからない。
みんな、真っ白な世界。
しかし、雪は知っていた。
やがて、自分だけがいなくなるのを。
寂しくて、寂しくて、雪はひとりぼっちだ。
ある塩が言った。
「そんなにさみしがらなくてもいい」。
「僕も一緒にいってあげるから」
その塩は雪の隣に来て雪を見つめた。
雪はうれしそうに笑った。
しばらくたって、雪が溶け出した
塩はゆっくりと雪の中に入り二人は1人になった。
雪のいなくなった塩はいつもとかわらない風景だった。 |