Chilopod

猿のままの人が僕にとてもいい事を教えてくれたので、
いくつかの靴を履いて西へ向かった。
いくつかの靴はあまりにもすぐにすり切れてしまって
がっかりしてしまった。
もし、僕に母さんと呼べる人がいたなら、
きっと素敵な靴をいくつもいくつもプレゼントしてくれたに違いないが、
残念ながら、僕は一人きりだった。
やはり、西へ向かったのは間違いだったかなと、
あきらめかけた時に
僕は素敵な女性にあった。
細く身もだえするほど美しい足
しなやかな腰使い
僕はたちまち恋に落ちた。
ああ、彼女ならこんな僕でも受け入れてくれるに違いない。
少しだけ、ほんの少しだけボク達は体を触れ合わせ合図した。
どこかのダンスのように2人が腰を触れ合わすのには時間がかからなかった。
彼女の長く細い足が何重にも
僕の体に絡まる。
僕たちはお互い
触覚を触れ合わせ、
意思の確認をとった。
やっぱり、彼女も僕を求めている。
僕は、精子の入ったカプセルを地面に放出し、
震える彼女を導いた。
彼女はそれを生殖口に取り込んだ。
ああ〜、きっといつの日か僕に似たかわいい子供達が
何百の卵から生まれるだろう。
僕の知らない子供達も
きっと旅をして恋をするだろう。
僕は何百もの足を動かしながら、
また西へむかった

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