先輩と後輩2

「先輩」

「ん?」

「うまいものってラーメンですか?」

「うまいものといえば
 ラーメンだろ
 だけど、おまえ、
 あんまりチンコ掻くなよ」

「だって、かいいんすよ」

「わかてるけどな、
 ここの店員
 ほら、あの子」

「かわいいっすね」

「だろ、
 あー、おまえ
 あの娘を凝視しながら
 ラーメンすすって
 股間をむさぼってているその姿は
 ものすごい変質者に見えるな!
 団鬼六の住人だな」

「だって、かいいんすよ」

「限度があるだろ!
 男はだまってサッポロビールだ!」

「なんすか?
 ビールも飲みたいんっすか?
 すんませーん
 ビール追加!」

「おい!
 そうじゃねーんだよ
 ビールはいいよ
 だけど、
 背中丸めて
 ラーメンすすって
 股ぐらに手を突っ込んで
 上下運動して
 女の子をじっと見つめて
 半笑いで
 ビールを頼むなよ」

「だって、
 ラーメンで体があったまって
 よけい痒くてしかたねーんすよ
 先輩が医者に行ってくれないから」

「わかった。わかった
 今度いくから
 とりあえず、ここはがまんしろ!
 あの娘をそんな目で見るんじゃない!」

「だって」

「お、ビール
 いつもありがと!」

「おい!
 やっぱりお前のせいで
 いつもは『ビールです』って笑顔で渡してくれるのに
 さっきのあの子はケダモノを見る目だったぞ!
 おい!いい加減!股間を掻くのをやめろ!」

「だって…」

「もういい、ほら今から医者に行くぞ!
 これ以上嫌われたら叶わん!」

「だって…」

 

 

「先輩電車のってどこいくんですか?」

「決まってんだろ!
 歌舞伎町だよ」

「え、また風俗ですか?」

「違うよ。医者にいくんだよ」

「別に近所の医者だっていいじゃないすか?」

「ばかやろう!
 こういう医者は歌舞伎町の医者が一番なんだよ!」

「え?」

「だいたい、近所の医者と
 歌舞伎町の医者じゃ
 今まで見て来た患者の数が違うんだよ!」

「はあ」

「いいか、俺たちの住む町で
 一日何人の性感染症の患者が生まれてると思う?」

「いや、あんまりきいたことないっす」

「そうだよ。せいぜい2.3人だよ
 多い日でもな
 だけどお前
 歌舞伎町では
 一日何人の性感染症の患者が生まれてると思う?」

「さあ?」

「百人か、多けりゃ千人生まれてると思うね
 おれはな」

「それはすごいっすね」

「そうだよ。そんな患者たちを治してるのは?」

「歌舞伎町の医者!っすか?」

「そうだよ
 地元で治したら
 1ケ月かかるよ
 しかも、お金もいっぱい取られて
 あげくに珍しいから
 言いふらされて
 明日から笑いもんだよ
 いいのかタバコ屋のおばちゃんに
 後ろ指さされても?」

「ああ、あの小銭のおつりをごまかす
 Mrマリックのサングラス外したようなおばさんすね。
 あいつに後ろ指、指されるのは堪えますね
 あそこ、おばちゃんだけじゃなく
 自動販売機もおつりごまかすんすよ
 マリックなら文句言やあ
 おつりくれるからいいけど
 毎回真剣勝負っすよ
 だから、こっちの弱点は見せられねーっす」

「だろ!
 だけど歌舞伎町なら
 注射一発で治っちまうよ」

「本当ですか?」

「ばか、歌舞伎町だよ
 日本の歌舞伎町じゃないんだよ!」

「え?」

「世界の歌舞伎町だよ!
 そんなもん
 注射一本で治んなかったら
 どうなるよ」

「どうなるんすか?」

「世界が滅びるだろ!」

「え!世界が?」

「まさにノストラダムスの予言の
 とおりになっていただろうな」

「じゃあ、世界を救ったのは」

「そう、歌舞伎町の医者だよ!」

「すごいっすね
 歌舞伎町の医者って」

「ここだけの話
 あそこは無法地帯にだから
 NASAも非合法のあぶない実験は
 歌舞伎町でおこなわれているらしいぜ!」

「そんなとこだったんですか?
 歌舞伎町!」

「ああ、宇宙人から教わった新薬は
 あそこで実験されているらしい!」

「本当すか?」

「ああ、うつみ宮土理が言ってたよ」

「なぜ?ケロンパが!」

「し!
 着いたぜ!
 新宿に…」

次回につづく!

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