遭難 「おーい。おーい 「あいつら、海の男のくせに、目が悪いんじゃねーか!」 「そうかもしれねーな。最近の若い奴らは… 「いや、最低でも8は、ほしいですよ 「そんなにいいやつはいねーよ!」 「でも、今のぼくたちはプールの中の米粒みたいなもんだから」 「だいたい、視力30ってどこまで見れるんだ?」 「そうっすね。 「しかも、ちょっと色っぽい、おばちゃんな。」 「って、そんじゃ足りねーよ。 「いいですね〜。 「でも、月の上から地球を見てる人はいませんよ」 「お前、それいっちゃ〜おしめーだろ!」 「じゃあ、のりたまのふりかけを袋の上から見ただけで、 「いいね〜、あれ微妙なんだよな。 「あと、黄色いお米を一瞬で見つける能力とかな」 「いいですね。あれ、炊くともっとわかんないから、 「それもいいね」 「でも、視力30ってのと違いません?」 「細かい奴だね〜。」 「でも、そうじゃないと、ぼくたち発見してもらえませんよ」 「まあ、そうだな。 「松居和代みたいなおばさんですか?」 「そう、あと、どんな綺麗な品物でも 「いますね。そんな人。 「ひどいやつだね〜」 「他人の賞味期限にきびしく、自分の賞味期限に甘いのな」 「腐る前が一番うまいって言ってモノをくれる人ですかね?」 「しかも、お返しを銘柄指定で請求してくる人!」 「恐いですね。世間って」 「あの〜、視力が良くないと 「わかってるよ。 「いますかね。そんな人、海上保安庁に」 「いるよ。どこにだっているんだもん。 「たとえば?」 「同窓会にタッパーもってくるようになったら、 「あー、若い頃、座ってくれればいいのに 「それなんだよ。おれもつねづね不思議なんだ」 「あの、視力30は?」 「あ、そうそう、 「恐いっすね。蚊の目玉を認識できるのは?」 「しかも、飛んでる奴! 「そんなおばちゃんなら、 「そうすね。さすが船長!」 「しかも、ちょっと肉付きのいい色っぽいバツイチ!」 「さすが船長!じゃ、服装は海女さんにしましょう!」 「さすが海の男!」 「ぼくは、若い子のほうが…」 「贅沢いうんじゃね〜こんな時に! 「あ、はい」 「早く、来ないかな? 「来るといいな〜」 「来ますかね〜」 「来るさ、きっと…」 |
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