銀行強盗

「おら〜怪我をしたくなかったらおとなしくしろ!」
「動くなよ!動くと撃つぞ!ウソじゃない!本物だからな!」
バーンとイッパツ撃って、天井が電気がパリーンと割れた。
「きゃ〜」それまで、半信半疑だった。
お客や、銀行員が頭を抑え、下に身を隠した。

俺はきょろきょろ回りを気にしながら
「おい、これにあるたっけの金をつめろ!」
と、手前の窓口にいる一番若そうな銀行員に黒い皮の鞄を渡した。
「は、はい…」
「早くしろ!」
「はい!…」
「動くな!動くなよ!」といってもう一発ぶっ放した。
「きゃ〜」回りはぶるぶる震えている
「まだか!」
「……」
「あんの〜」
「早くしろ!」
「鈴木くんじゃない?」
「え!」
その通り、俺は鈴木一雄 けちな銀行強盗だ。
その言葉で、よく銀行員をみると
ああ〜、こいつ、赤坂美樹じゃねえか!
やっぱ、地元で銀行強盗なんてやるもんじゃない。

「なにしてんの?」
「あほか!銀行強盗だ」
「そんな事より、早く金だ金!」
「鈴木君ならサービスしちゃおうかな?」
「ちょっと待ってて、金庫からもっともってきちゃうから」
彼女はニコッと笑って金庫に足早に向って行った。

「動くなよ!動くな!」
俺は回りを威嚇しながら考えた。

美樹はまあ、かわいいのだが、派手すぎて地元では浮いた存在だ。
何でも刺激を求めて、男もとっかえひっかえするような女だった。
金使いも荒く、あいつに泣かされた男が何人いるか。

そんな、うわさをたっぷり聞いているから
美樹から、告白されても、まったく相手にしなかった。
そんな思い出のある女だ。

「もってきたわよ」
うふふっと笑いならたっぷり札束を詰め込んだ鞄を2つ!も重そうにもってきた。

2つ?俺が渡したのを1つだったはずなのに

「早く!、早くよこせ!」
「渡してもいいけどさ」
「私の取り分は?」
と、美樹が小声で耳元でささやいた。

う!そんな事、今言うなって感じだが
「わかった!後でどうにかして渡すから、早くよこせ!」
と小声で言うと
「やだ!どうせすぐ高飛びするんでしょう?連絡なんかつかないじゃない」
「お前の家に郵送するよ」
「信じられないよ」
「ねえ、私も連れて行ってよ」
「無理だよ」
「じゃ私も無理」
「頭、ふっとばすぞ!」
といって、ピストルを頭に向けても
「ねえ、結婚してよ」
なんて事を平気で言ってきた。
「あたしも、銀行のお金目当てで行員やってたんだ。
 借金がけっこうあって、もう首、回んないのよ」
「やだよ!そんな女!」
「ちぇ!」
これで、美樹のプロポーズを断ったのは2度目だ。

「いいから、よこせ!」
俺は無理矢理、鞄を奪い、美樹を蹴り倒した。
「ぎゃ〜」なんて、世にも恐ろしい顔で俺を見てぶっ倒れた。

実は本気で蹴り上げたのも俺の愛情である。
じゃないと、美樹が疑われてしまうだろう。

俺は計画道理に何台も車を乗り換え
秘密のアジトへと逃げ込んだ。

やった成功だ!

うきうきしながら俺は
鞄の中身を見ると
中身は200万とゴミである。

しまったあああああああああああ。

翌日、新聞やニュースでは約3億円が盗まれたと騒いでいる。
美樹は泣きながら恐かったとニュースやワイドショウにひっぱりだこになって、
まるで、B級タレント並みだ。

俺は美樹に電話をかけた。

「おい、どういう事だよ」
「どうもこうもないわ」
「プロポーズをことわったからか?」
「それもあるけど、」
「あなたが、来ないとあやうく使い込みがばれる所だったのよ。
 ちょうど良かったわ」
「そんな」
「助かったわ」
「使い込んだって、俺の鞄に3億いれてもいいだろ!」
「馬鹿ね、鞄には大きさってもんがあるでしょ」
「あなたの鞄、せいぜい1億5千万も入らないわよ」
「だから、あわてて鞄を用意して渡したんじゃない」
「200万はおだちんよ」
「どこにあるんだよ3億は?」
「だから、使い込んじゃったのよ」
「助かった〜、これでつじつまが合うわ!」
「…」

「くそ〜、おまえ〜、」
「結婚しろ!」
「おまえほど、悪い女は見た事が無い!
 結婚して俺をあやつれ!」
と、今度は俺からプロポーズをした。

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