前カノ

ピンポンとチャイムがなって
はーいと出てみると
目の前に昔の彼女が立っていた。

僕は正直とても、驚いた。
なぜなら、彼女のほうから、もう絶対会いたくない!と
それ以上の罵倒で罵られて最悪の関係で別れたからだ。

「ど、どうしたの?」
「なんでもない」
「????」
なんでもないとはいったい。
どうすればいいんだ。
僕としては、別れ方は最悪だったけど
ものすごく未練があるんだよ。
こんな時にパーフェクトな答えを考えるけど
全く、思い浮かばない。

しかし、今一番の問題は、
今、付き合っている彼女が
もうすぐ来るって事だ。

今付き合っている彼女は
この前カノよりも、かわいくない
年も多分ちょっといっている。
ただ、寂しかっただけで、付き合ったんだけど
彼女の優しさにふれるたびに
最近なんだか情がうつってきて
やけにかわいく感じるようになってきた。

ともかく、僕は、この現状も維持しておきたいし
現彼女も維持しておきたいこの状況。
僕の口から出た言葉は
「まあ、ともかく、外にでもいこうか?」
とりあえず、完璧である。と、思ったら
「はあ?そと〜?」
前カノが鬼の形相で僕を睨んでいる。
「あ、別に中でもいいけど」
前カノは間髪いれずにフンとばかりに勝手にずかずかと入ってきた。
「なんでもいいけどさ、なんだよ〜、いったい」
僕は急になさけない声を出して
前カノにすり寄った。
「さわるな!」
またまた、鬼の形相だ。

さすがの僕も頭に来て
「なんだよ。じゃ、出てけよ」と強く言うと
「すぐ出て行くよ ちょっと忘れ物を探しにきただけだから」
「ちょっと、靴ぐらい脱いでくれよ」
「やだよ。こんな汚い所」
「え〜」

とその時
ピンポーンと
やば!彼女が来た。

こいつがこの態度だという事は
僕の腹も決まったようなものだが、
それにしても、
いま、波風を立てたくない。
それに、こいつなら、平気で僕の悪口を言いかねない。

つまりは、
「おい、どうでもいいけど、何処かに隠れてくれ」
「なんでよ」
「いいから、早く、彼女が来たんだよ。」
「いやだよ」
「たのむよ」
「やだ」
強気の彼女の事、絶対引かないだろう。

ピンポ〜ンと何度もなっている
僕はもう全てをあきらめて
「もういいよ」
「だけど、変な事はいうな!うそもいうな!しゃべるな!」
と、精一杯睨みつけて、ドアを開けた。

「ごめん、おまたせ」
僕は引きつり笑顔で彼女を迎えた。

「なによ〜、寝てたの?」
と、彼女が入ってくると突然驚いた顔になった。

どうやら、前カノを見てしまったようだ。
「いや、ごめん、いやいや、ごめんじゃないんだよ。」
などとわからない事を言い
あわてて、首を振り、なにかを否定しながら、訳を説明しかけたとき
「おばあちゃん!」
僕の後ろから、驚きのの声が!
と、ともに
「真美!」
と彼女が答えた。
お、お、おばあちゃん?
今の、俺の彼女がおばあちゃん?
前カノの?
せめて、お母さんじゃなくて?

「う〜ん」
僕は卒倒してしまった。

目が覚めると僕は彼女の膝枕で寝ていた。
たぶん、年上じゃ無いかと思ってはいたけど、まさか・・・。
そんな情けない顔をしていたとき、
ひょいっと前カノ
いや、現彼女の孫が!顔をだした。

あははと大笑いし、
「ちょっと、あんた、あいかわらず、気が弱いね」
僕は頭がぼ〜として「え」と心なく答えるのがやっとだった。
「おばあちゃんは、あだな!」
「こいつは、高校の同級生!」
「ちょっと、性格がおばあちゃんぽいだろ!」
「だから、ついたあだ名がおばあちゃん」
「ちょっと、やめてよ」
「ま、いいや、ちゃんと説明はしておいたから
 お、し、あ、わ、せ、に、!」
「あ、この人形は返してもらうから
 これ、レアなんだよね。
 なーんかこの顔が気になちゃってさ
 どこにいっても無いんだよ じゃな」
といって以前2人でUFOキャッチャーでとった人形を持って
前カノは出て行った。

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